浜松南口より5分のところにあるマンションの地上階、外部に至る通路内壁に施された壁画です。
このモザイク画も瓦の材質によるロングピースをふんだんに使い、動きのある造形を作り出しています。
ところどころ、レンガ色のピースの他、ヅマルトといって金箔が裏貼りされたガラスピースがアクセントとして用いられています。
この画像の箇所左側にも同様の壁画があるのですが、その写真大判2枚は残念ながら欠落しています。
モザイクピースが、重厚な地層のように連なり、うねるような量感を作り出していたのを記憶しています。
この画像の壁画も動きは入り乱れていますが、何か地層のような、あるいは鉱物の断面を見ているような気がします。
以前、鳳来寺山(愛知県)の近くで1500万年前の岩層を見たことがあり、それを思い出しました。
そこは山道を作る現場で、岩山を削った直後なのでコケもなくまったくきれいな状態でした。白い岩肌に青や赤の液体の帯のような縞が鮮明に浮き上がっていました。しかも波打って、それはまるでどろどろの液体の中をさまよう色を帯びた存在が一瞬で凝固した感じに見て取れました。
これは、鉱物というより粥状の流動物だったことが分かります。当時の地球の様相は現在と相当異なり大気が今より濃密で、時代をさらに下れば、地表と大気との境も今日ほどはっきりとはしていなかったそうです。
大地は流動的で重力も現在よりかなり低かったのではないかと思います。
当然濃密な大気により太陽からの照射は抑えられ、昼間の太陽は霧状の大気を通してぼんやりとした輪郭を描いていたでしょう。
パンゲアとは、大陸移動説です。今日の全ての大陸が太古の時代一つであったという説です。
今から約2,300万~1,500万年前、日本列島が ユーラシア大陸から分離して弧状列島になったころです。
この説に従えば、一つの大陸以外は海であったとも受け取られます。そして地球の半分以上がそのような海だった。
まだ地球は今日ほど硬化しておらず、外殻も柔らかく、重力も軽く、それゆえく巨大な生物が自身を支えて闊歩し、地上を飛び交うことができたといいます。
ここでパンゲアの地図を見ると、大陸以外の海はかなり広いですが、実際は陸より狭い湖だったのではないかという説があります。すなわち、地球は現在よりも小さかったということです。
これは考えられることです。地球は生物の器ではなく巨大な生命体でもあるからです。要するに、成長していて大きくなっているのです。
植物の種子のように栄養素を内に備え大きくなっているという説です。徐々に年代が登るにつれてふくらみ、大陸が分裂し、硬化していったのでしょう。濃密な大気が希薄になるにつれて大量の水に絞り変えられ海になっていったことが予測できます。このあたり日本の神話を想起します。
モザイク制作は全て現場にて直張りでの作業、モザイク作家の関谷氏のほか小原氏も制作にあたっていました。
他、写真1点は、ファイル『モザイク壁画』に収録されています。
1984年1月制作
マンションロビーのモザイク壁画
場所:浜松市中区砂山町 浜松サーラ
設計・発注:野口建築設計事務所
原画制作:山田雅夫
建築施工:鹿島建設名古屋支店
素材:素焼きピース・一部テッセラ(ガラス)使用